子どもをダメにする価値観を押し付ける『毒親』の心理

毒親が子どもをダメにする ココロカラネット ブログ

「これはあなたがやらなければならないことだ」
「あなたのためを思ってあえて厳しく指導している」
「そんなことでは立派な大人になれない」

子どもの教育にこのような方針を持っている親は少なくありません。

このような親の話を聞いていると、確かに本人は子どもに対して愛情を感じていて、心の底からその子の幸せを願っていることがわかります。

しかし、子どもに対するこのような接し方は子どもの心を傷つけ、結果的に親の期待と真逆の方向に成長していく可能性があることを認識しなければなりません。

子どもが自立した大人になるために、親はどのように接していけばよいのでしょうか。

親子といえども別の人間

当たり前のことだと感じる方は多いのではないでしょうか?

しかし、冒頭に書いたような教育方針で子どもに接する人間は、子どもは自分の支配下にあり、未熟で、自分より劣っている存在だから進むべき方向性を明確に示さなければならないと信じています。子どもがどのように感じ、考えるかという点は、まったくと言ってよいほど配慮しません。

まるで、子どもには思考力も感情もないと思っているかのようです。

子どもは未成熟で経験も少ないというのは事実です。このため、親を含めて周囲の大人は子どもに不足している部分を補完してあげなければなりません。子ども自身の経験と親を含めた周囲の大人からの助言は両方とも子どもの成長には欠かせないものです。大人からの助言で子どもは効率的に情報を得ることができ、判断の選択肢が増えるからです。

「こうすれば間違いない」と親の考えに従わせるのではなく、子どもを一人の人間として認識して「こうしたほうが良い」、「こういうやり方もある」、「こういう考え方もある」と示し、子ども自身の判断を尊重するようにしましょう。

子どもの判断が間違っていると思うなら、なぜそのような判断をしたのかと理由を聞いてみるのが良いです。その子なりの理由があるはずです。そして、自分の考えを聞いてもらえたという事実は、その子の自己肯定感を満たし、他者の考えをより柔軟に受け入れやすくなるからです。

親の価値観を押し付けることによる呪縛

「こうあるべき」、「こうするべき」と親に価値観を押し付けられて育った子どもは、大人になってもその影響を引きずってしまいます。

例えば、社会にでても自分で決めることができず相手に判断をゆだねてしまったり、自分の意思に反して権力的・高圧的な人に従ってしまったりする傾向がみられます。

また、そもそも自分で判断することができず、自分の気持ちに気付きにくくなってしまうこともあり、自らが目的意識を持って物事にあたるのではなく、常に誰かが引いてくれたレールの上を進むだけの消極的な人間になったり、どのような状況でも他者に従うイエスマンになったりします。

価値観を押し付けられてきた呪縛は無意識レベルで子どもの心に残ります。その結果、自分の意思で行動できないため外面と内面の乖離がどんどん大きくなり、自己否定感が増していくかもしれません。あるいは、心的ストレスが外向きに爆発してしまう結果につながるかもしれません。

本当に子どもを愛しているのなら、親は子どもが「自立した大人に成長する」ためにどうすればよいかを考えて接するよう心がけるのが良いです。幼いころから価値観を押し付けられて育った子どもは、無意識のうちに自分で判断することをあきらめ、他者の期待に沿う行動をとることに専念するようになってしまいます。これでは「自立した大人」とは言えません。

価値観を押し付ける毒親の心理

子どもに価値観を押し付ける権力的で高圧的な親の中には、実はとても大きな劣等感を抱えている人がいます。

自分が達成できなかった目標や夢を子どもに託し、子どもに過剰に期待してしまうケースです。

親が果たせなかった目標や夢は子ども自身の目標や夢ではないのですが、このタイプの親はそのことに気付きません。自分に代わって自分の夢をかなえることが子どもにとってもよいことだと信じて疑いません。

また、自分の失敗や苦労を子どもには経験させたくないという思いが強い人も毒親になる傾向があります。

失敗から子どもを守りたいという気持ちは子どもに対する純粋な愛情から出てくるものですが、それが強すぎると子どもの自由と経験の機会を奪ってしまいます。自由を束縛され、経験から学ぶ機会も失うことは、人としての成長の幅を狭めてしまう結果につながります。

自分が絶対的な支配者で子どもは自分に従属する者だ、というのが毒親の心理の根底にあります。毒親は自分の心理に気付いておらず、子を愛するが故の指導だと信じ込んでいます。子どもの真の成長にどれほどの悪影響があるかを考えることすらしません。

毒親の影響を排除する方法

子どもの問題行動に親子の接し方が起因している可能性がある場合は、子どもと親の両方の意識を変えなければなりません。

子どもに対しては、自主性を尊重することが重要です。

子どもの話を聴き、自己肯定感を高めていきます。一人ひとりそれぞれの考えを持っていて、社会と調和する方法で自らの考えを主張することは良いことだと理解してもらいます。意見が対立する場面でも、お互いがお互いを尊重して対応することが大切だと認識してもらいます。すべての場面で主従を決める必要はなく、異なる意見を持ちつつも共生する方法を探っていく努力をするということです。

幼いころから価値観を押し付けられてきた人は、相手の主張が強い場合、「従」の立場に立つことでその場を切り抜けてしまおうとします。「従」ではなく「対等」の立場でお互いの違いを認識し、それはそれでよしとするという考え方を持ってもらうことが重要です。

一方、親に対しては、子どもは親とは別の人格を持った一人の人間であることを理解してもらわなければなりません。子どもは親のコピーではないし、親の支配下にある人間ではないと認識してもらうということです。

養育と支配は異なることを毒親傾向の人に理解してもらうのはかなりの困難が伴いますが、このハードルを乗り越えないと子どもは親から離れて行ってしまうだけで、親子関係を良好に修復することはできません。親が子に提供すべきものは自らの豊かな経験の引き出しから様々な選択肢を提供することであって、唯一の答えを強要することではないと理解してもらうことが重要です。

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